2012-01-06

BOOKS | 柳生連也斎―決闘・十兵衛

読了直後なので文体が可笑しいがご勘弁を。

五味爺が灯した剣豪小説の炎。闇の先に綺羅と光る有名作を前に、根がひねているのか、並居る御大が殆ど書かない「柳生」を集めようと思う。
かつて「安倍晴明」をターゲットに、2年間程作家を問わず、あの作品、この作品と読み続け、晴明のあらゆる姿を堪能した思い出がある。
折角なので久々にこの術を使うことにした。

なぜ柳生?

きっかけは五味氏からという以上に、政治家としての姿、禅問答のような求道の姿、「活人剣」は技に加えて心も描ける。江戸があって尾張があって、善にもなって悪役にもなれる、表も裏もなんでもござれのような流派は他にはないでしょう。役者も多彩。石舟斎、宗矩、連也斎、十兵衛、烈堂と来れば拝一刀まで行くのか?天下一だから、他流派との対決も多数。しかも家光や義直から伊賀の忍者まで平気で登場できるぞ。
これだけネタがあれば、それこそいろんな姿の柳生、深い柳生、面白い柳生が楽しめるに違いない。
と思って始めた「勝手に柳生伝」。第二作目が連也斎Vs十兵衛となりました。

いや、面白かったです。尾張対江戸の対決が主軸。新陰流の極意の一端がよく分かりました。
その一方でキャラ設定は単調に過ぎてかなり食い足りない感じ。七郎兵衛(連也斎)は天性の遣い手という設定だから、言ってみれば最近の漫画の主人公と同じく、努力無用でいきなりスーパーヒーローなのだ。
星飛雄馬と共に育った世代としては、納得がいかない。
しかも一頁目から最終頁まで一度も悩み、惑い、恐れることもなく、折角おゆうという女性が傍に居ながら性欲に溺れることも、それが剣に影響することもない。最初から明鏡止水を極めて負け知らずなのだ。
対する十兵衛もキャラの収まりが悪く、ちょっと尻がむず痒い感じ。引っ張って引っ張って一合で終わりとはこれ如何に。
長編小説なので研ぎ澄まされた切れ味は難しいと思うけれど、やや講談調だったかも知れない。

なお、次回の「勝手に柳生伝」は津本洋となっております。


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